八方塞がりな中国国内経済

 今年第2四半期の中国GDPの伸びは0.4%と、コロナ感染が広がった2020年以降最低となった。第3四半期に入ってからも消費は伸びず、また四川省や長江域を中心とした渇水から広がった電力不足、さらには秋の農産物の収穫量への影響が懸念されている。

 今夏大学を卒業した1000万人の就職についてもいまだにメドがつかず、16~24歳の若手労働者の失業率は7月には19.9%に達した。李克強総理が全国に向けて対応策を呼びかけている状態で、これといった解決のカギは見えていない。

 これまで中国が強みとしてきた電子機器分野でも、突然の、そして長引く強硬なコロナ対策によるリスクを懸念してアップルのように中国生産からのフェードアウトを進める海外企業も少なくない(https://diamond.jp/articles/-/303999)。

 さらに8月には、米国で国内半導体メーカー支援を目的としつつ、さらに対中国禁輸を視野に入れた「CHIPS and Science Act」(俗称「CHIPS法」)が成立した。いまだに台湾の「台湾積体電路製造股份有限公司」(TSMC)や韓国サムスンからの半導体提供に頼らざるを得ないファーウェイのような中国企業にとっては、これらの企業が今後も引き続き対中供給を続けてくれるかどうかは非常に大きな問題だ。

 任氏の社内指針が巻き起こした議論は、1週間後の本稿執筆時にはほぼメディアに現れなくなった。個別の経済系トピックはニュースとして報道されるものの、その衝撃の大きさを伝えるニュースや論説はしっかりと抑え込まれている。そこに中国政府が「不安拡大」に神経をとがらせる様子を見て取ることができる。

 しかし、今年の春から次から次へと続くネガティブな経済事情は、ほぼ抑え込めないところまで来ており、庶民生活は逼迫(ひっぱく)している。「栄えある」第20回の共産党大会が10月16日に開かれることが発表されたが、その時までに中国政府はいかに社会に明るい話題を提供できるのか、正念場になってきた。