JAと郵政 昭和巨大組織の病根#15Photo by Hirobumi Senbongi

2023年夏、JAグループの役員改選が行われる。注目はグループの司令塔であるJA全中の会長選挙だ。有力候補が下馬評通りに当選すれば、JAグループの自民党農林族への依存はさらに深まり、農協改革は停滞しそうだ。特集『JAと郵政 昭和巨大組織の病根』(全15回)の最終回では、農協の命運を左右するトップ人事を巡る勢力争いに迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

農協と郵便局関係者が
自民党との蜜月を喜べない理由

 安倍政権による農協改革で解体の憂き目に遭ったJA全中が、勢力を回復するラストチャンスを逸しようとしている。

 JA全中は農協改革で、それまでの権力の源泉だった農協の監査権限を剥奪された。その後、組織の方向性を失って迷走していたが、どうも、農政運動に特化した組織として存続を目指す方向になりそうなのだ。

 その方向性を打ち出すのは2023年夏に選出される次期JA全中会長だ。

 実は、そのトップ交代において、JA全中が農政に特化すること、言い換えれば“政治頼み”の組織になることが決定的になりそうなのである。

 次ページでは、JA全中会長などのトップ人事を予想するとともに、JAグループが抱える人材面の問題を明らかにする。