過去200年間の英国の君主の中で最も注目すべき2人がどちらも女性だったことは、歴史上の珍事だろう。ビクトリア女王(在位1837~1901年)は英国が世界の大国になったビクトリア時代を特徴づけた。1952年に即位して今月8日に96歳で死去したエリザベス2世は、同国の結束と不屈の精神が試された時代に模範的な統治を行った。今の米国人は、英国の君主制といえば有名人と家族を巡るメロドラマを思い浮かべる。ダイアナとチャールズ、アンドルー王子と米富豪ジェフリー・エプスタイン、そして王室の責務から逃れて北米に移住したハリー王子とメーガン・マークルだ。だが英国人にとってエリザベス女王は、波乱の70年間を通して国民の結束の信頼すべき象徴だった。即位したのは第2次世界大戦後に大英帝国が崩壊した後で、首相がウィンストン・チャーチルだった時だ。その後、東西冷戦、英国経済の社会主義の下での衰退およびマーガレット・サッチャーの下での復活、ブレグジット(欧州連合からの英国離脱)やスコットランド独立への要望といった主権を巡る難題――これらの出来事が起きた時代を通して女王は統治してきた。
【社説】女王エリザベス2世
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