DEOの六つの特徴

 では、どう考え、どう行動するリーダーならDEOと呼べるのでしょうか。著者らはDEOの特徴として以下の六つを挙げています。

(1)変化を起こす
(2)リスクを冒す
(3)システム思考をする
(4)直感力が高い
(5)社会的知性が高い
(6)さっさとやる

 こうして並べると、確かに、いずれもリーダーなら持っておいてほしい能力に感じます。しかし、私は最後の「さっさとやる」の説明を読んだとき、ちょっと引っ掛かってしまいました。

DEOはいつも、社員の仕事に関与したい、自分で話を聞いて詳しく知りたい、自ら見本を示してリードしたいと思っている。そうしたほうが、アイデアをさっさと実行に移し、仕事をさっさと片付けられると考えているのだ。

 優秀だけどせっかちで、やたらと現場に首を突っ込んできて、小うるさくマイクロマネジメントをする……。思わずそんなトップをイメージしてしまったのです。それって、現場の力を殺してしまうのではないだろうかと。

 しかし、読み進めると、それは誤解だと分かりました。「メンタリングvs管理」という項目に「DEOは社員の管理はしない。彼らはメンターなのだ」とはっきり書かれていたのです。

 助言を与え、応援し、成長を促すのがメンターの役割です。DEOは、スタッフを細かく管理する代わりに、ひと塊の役割を丸ごと権限委譲します。そして、自ら「さっさとやる見本」を示すことで、スタッフがそれぞれのやり方で「さっさとやる」ように促すのです。