デザインすることは、変化すること

変化の時代の経営には「変化する力」が必要だ――『CEOからDEOへ「デザインするリーダー」になる方法』 『CEOからDEOへ』
マリア・ジュディース/クリストファー・アイアランド[著]
坂東智子[訳]
ビー・エヌ・エヌ新社

 タイトルにもなっている「DEO」は、著者らが作った新しい言葉です。「デザイン・エグゼクティブ・オフィサー」の略ですから、「デザイン経営責任者」とでも訳せばいいでしょうか。これまでCEO(Chief Executive Officer=最高経営責任者)と呼ばれてきた人が、これから目指すべき進化形として定義されているのです。

 といっても、経営者が自らロゴや商品をデザインせよ、というのではありません。著者らはデザインの役割を、「問題を解決する」よりも「変化をもたらす」ものとして重視しています。だから、本書の大きなテーマは「変化」です。これまでのように、トップダウン式で仕事を進めるCEOから、柔軟に変化できるDEOへの進化を提案しているのです。

 この本は、序章に当たる「NOW」と、終章に当たる「NEXT」の間に、四つの章を挟んだ構成になっています。各章のタイトルは「ME」「WE」「DO」「BE」。まず自分を変え、コミュニティーを変え、行動を変え、在り方を変える……。読み進めていくことで「どう変わればいいか」が明らかになっていくのです。

 そのための方法も詳しく解説されています。各章は細かく項目分けされていて、それぞれに「エクササイズ」という実践のヒントと、参考になる書籍が紹介されています。さらに、章の合間にはDEOと呼ぶにふさわしい経営者のインタビューが挟み込まれていて、多様なロールモデルを示してくれます。