変わりたい人のための、実践の本

変化の時代の経営には「変化する力」が必要だ――『CEOからDEOへ「デザインするリーダー」になる方法』日本出版販売入社後、特販営業部、楽天ブックス等を経て、2003年よりマーケティング部門にて、データマーケティング・販売企画を中心に担当。MD課長、広報課長等を経て22年3月に退社。現在は日販のマーケティング部アドバイザーとしてデータマーケティングツール開発等の業務に携わる。NPO本屋大賞実行委員会理事、HONZメンバー。 Photo by ASAMI MAKURA

 私がこの本を読んで強く印象に残ったのが、「まず自分が変わろう」というメッセージです。だから、「ME」の章から始まっているのですね。また、「デザインをビジネスに生かそう」という掛け声だけでなく、具体的な実践のヒントが充実している点に、非常に好感を持ちました。

 各項目のエクササイズも「大学でデザイン理論を学ぼう」みたいな大それたものではなく、日々のルーティンをちょっとだけ変える小さな提案がほとんど。経営者だけでなく「変わりたい」と思う全てのビジネスパーソンに役立つのではないでしょうか。

「デザインに基づくリーダーシップ」を提案することについて、著者らは冒頭でこのように書いています。

そんな提案は美術の教師が色とりどりの絵の具パレットを使って貧困を撲滅しようと提案するようなものだと判断する方もいらっしゃるかもしれない。(中略)実際には、デザインするリーダーたちは、以前は価値のあったものが価値を失うような、変化の早い、予測不能な状況にうまく対処し、高い評価を得ている。

 私自身、ビジネスとデザインの領域をまたぐ本を読むまでは、「クリエーティブな才能」と「ビジネスの才能」は対極にあるものだと思っていました。しかし今なら、両者は分かち難いし、両者を合わせないと新しい何かは生まれないということも分かります。

「デザイン」は、もはやビジネスの必修科目です。そんな時代に乗り遅れないためにも、これからも変わり続けなくては――。改めてそう思わされた本でした。