変わりたい人のための、実践の本
私がこの本を読んで強く印象に残ったのが、「まず自分が変わろう」というメッセージです。だから、「ME」の章から始まっているのですね。また、「デザインをビジネスに生かそう」という掛け声だけでなく、具体的な実践のヒントが充実している点に、非常に好感を持ちました。
各項目のエクササイズも「大学でデザイン理論を学ぼう」みたいな大それたものではなく、日々のルーティンをちょっとだけ変える小さな提案がほとんど。経営者だけでなく「変わりたい」と思う全てのビジネスパーソンに役立つのではないでしょうか。
「デザインに基づくリーダーシップ」を提案することについて、著者らは冒頭でこのように書いています。
そんな提案は美術の教師が色とりどりの絵の具パレットを使って貧困を撲滅しようと提案するようなものだと判断する方もいらっしゃるかもしれない。(中略)実際には、デザインするリーダーたちは、以前は価値のあったものが価値を失うような、変化の早い、予測不能な状況にうまく対処し、高い評価を得ている。
私自身、ビジネスとデザインの領域をまたぐ本を読むまでは、「クリエーティブな才能」と「ビジネスの才能」は対極にあるものだと思っていました。しかし今なら、両者は分かち難いし、両者を合わせないと新しい何かは生まれないということも分かります。
「デザイン」は、もはやビジネスの必修科目です。そんな時代に乗り遅れないためにも、これからも変わり続けなくては――。改めてそう思わされた本でした。