国会議員だけでなく
地方議員も「宗教」と接点

 岸田首相は、自民党と旧統一教会の間に「組織的関係はない」と強調している。一方で、茂木敏充党幹事長は「党所属議員が旧統一教会との関わりをそれぞれ点検して、適正に見直す」と述べている。

 しかし、揺れる自民党をあざ笑うかのように、地方の首長・地方議員・地方自治体と、旧統一教会の関連団体との深い関係が次々と明らかになっている。

 これに驚きはない。日本の選挙は、国会議員から首長、地方議員、地方のスタッフが一体で行う。国会議員が旧統一教会とつながれば、地方もつながるのは当然だ。旧統一教会は「日本型どぶ板選挙」の深い部分まで入り込んでいる。国会議員が絶縁を宣言すれば済むような簡単な話ではないのだ。

 自民党だけがどんなに頑張っても、旧統一教会と政治の関係を完全に断ち切ることは無理なのだ。かといって、宗教法人法の改正や、フランスの「反セクト法」を参考にした新法の制定によって、旧統一教会を解散させることも現実的ではない。

 旧統一教会は記者会見を何度も開き、「現在は霊感商法を行っていない」「反共産主義の政治家を支援する」と堂々たる主張を繰り返している。自民党との関係が断ち切られるはずないと自信を持っているようにも見える。それどころか、信者獲得の好機と捉えているのではないかとすら思える態度である。

「日本型どぶ板選挙」を食い止める
本質的な方法とは?

 私は、解決策は政治家が教団との関係を絶つこととは別にあると思う。先ほども述べたが、「日本型どぶ板選挙」が続くのは、地元の支持者が投票と引き換えに、政治家にさまざまな便宜を図ってもらう構図が残っているからである。ここに手をつけなければ問題は解決しない。

 メディアやネットの世界では、スキャンダルが起こる度に議員個人を徹底的にバッシングし、議員が辞職したら「撃ち方やめ」を繰り返しているが、それだけでは本質的な問題は何も解決しないのだ。

「日本型どぶ板選挙」を終わらせるには、日本政治の歴史的経緯、政治文化、社会構造を見直して、国民が徹底的に議論を行う必要があるだろう。

 端的に言えば、この問題の解決には、国民自身が変わらなければならない。選挙において、政党の政策や政治家の人物像を見極め、選択するのは国民である。

 一人一人が有権者として責任ある投票行動ができるようになれば、「日本型どぶ板選挙」は終わるし、旧統一教会の問題は自然に解決していくだろう。