代議制民主主義の誕生はスペインの地
――史実から学べることはたくさんありますね。
岩本 その通りです。他にも、代議制民主主義という政治制度の根幹といえる議会の誕生が、イギリスやフランスではなく、スペイン北部だったということもおもしろい学びでした。
イスラム教徒の侵略に危機感を抱いた当時の国王が、キリスト教徒を団結させるために教会と貴族、一般市民からそれぞれ代表者を集めて、世界初の議会を開いたというのが歴史に残っているんです。
――たしかに、近代民主主義の発祥の地といえば、イギリス、アメリカ、フランスというイメージがどうしても強いですよね。
岩本 そうですね。私自身、イギリスやアメリカに住んでいた時期があるのですが、その際に年齢や立場に関係なく議論することが文化として根付いていると感じたんです。互いに意見を出し合って決めていくスタイルが日本よりも全然強かった。ですから、本書に出会うまではスペインが発祥だとは考えてもみませんでした。
見方を変えれば、影響力のある国によって、歴史が都合良く書き換えられることがわかりやすく表れた例だともいえるかもしれませんね。