工事を遅らせることを目的とする、非暴力の直接行動

 この騒動を機に、SNS上ではあまりにも沖縄に対する無理解な言説が広まっている。このような沖縄にまつわるSNS上の誤解を、私が取材した6年の経験をもとにまとめてみたい。

 まずは、座り込みの仕組みと意義についてだ。これは前述のように、現在は辺野古のゲート前で、1日3回、9時、12時、15時と工事車両の搬入の阻止のために行われている。これはいわゆるデモとは違い、実際に一時的に工事をストップさせる非暴力の直接行動である。

 市民が座り込んで機動隊に運ばれる間の時間、工事は遅れる。現在は人が少ないこともあり1回15分、1日に45分ほど工事を遅らせているが、かつて24時間体制の座り込みの時や、大人数が集まった日は工事を1日中止させることもあった。

 ちりも積もればという感覚で、これが意外に効果を生む。高江では3年で完成するはずだったヘリパット建設を10年かけさせたこともある。

 もちろんただ遅らせるだけではなく、その間にロビイングや選挙など政治的な解決を模索する。そのための時間的猶予を作っているのだ。実際に辺野古では、この間に軟弱地盤の問題が明るみになった。

 なんで邪魔をするんだ!という声もありそうだが、沖縄県民はこの数年でも知事選3回と県民投票で辺野古建設反対の民意を出し続けている。その民意を無視して政府が工事を強行しているため、県民はこの方法を選んだ。選挙結果が政治に反映されないことが生み出した苦肉の策と言える。