コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は大成建設、鹿島などの「ゼネコン」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
ゼネコン業界4社の
「大減益」からの復活度は?
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のゼネコン業界4社。対象期間は22年2~6月の四半期(4社いずれも22年4~6月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・大成建設
増収率:16.3%(四半期の売上高3295億円)
・鹿島
増収率:10.1%(四半期の売上高4996億円)
・大林組
増収率:マイナス6.0%(四半期の売上高4103億円)
・清水建設
増収率:21.5%(四半期の売上高3847億円)
ゼネコン業界の主要4社では、大成建設・鹿島・清水建設がそろって2桁増収となった一方、大林組だけが減収となった。
ただし、増収となった3社もその座は安泰とは言えない。
ゼネコン業界では昨今、資材高の影響で原価負担が増加しているほか、価格競争によって案件単価が安くなっている。
前四半期の記事でも解説したが、各社はそうした要因によって利益面が圧迫され、前年度(22年3月期)の通期決算では増収減益を連発した。
中でも、清水建設は営業利益が前期比54.9%減、最終利益が同38.1%減の「大減益」に陥った。
こうした状況を踏まえ、建設会社の業界団体「日本建設業連合会」は22年4月、経団連(日本経済団体連合会)に対して「適正な工事代金と工期」での取引を発注者に呼び掛けた。
ゼネコン業界では現在、資材高を踏まえた値上げ(価格転嫁)が進んでいるとみられるが、各社は減益から立ち直ることができたのか。
次ページでは各社の増収率の推移と併せて、利益面の現状を詳しく解説する。