森と一体化したバワの最高傑作 ヘリタンス・カンダマラ(スリランカ)

ヘリタンス・カンダマラ(スリランカ)岩山の山腹に建てられた建物。敷地は幅1kmにもなる

 ジェフリー・バワといえばスリランカ出身の建築家で「トロピカル・モダニズム」の巨匠として母国スリランカを中心に、数々の名建築を残しました。スリランカを代表する世界遺産「シーギリヤ・ロック」の近くに建つヘリタンス・カンダマラは、バワの最高傑作といわれるホテル。岩山の中腹に建つ建物は近くから見ても、それと分からないほど自然と一体化しています。1994年に建設された際、将来建物が覆われることを予想して植栽されたツタ、エントランスやロビーに残されたむき出しの岩、自然の要素がそのままスタイリッシュなデザインに取り込まれた建物に、訪れるすべてのゲストは驚かされます。

森に溶け込んだホテルまさに森に溶け込んだようなホテル

 SDGsという言葉が登場し、近年では耳にする機会も増えましたが、ジェフリー・バワは半世紀も前から、その概念を理解・実践し、そのうえで多くの人々に愛される建物を造ってきました。バワのホテルに宿泊した人の中には、その表面的なデザインだけでなく、設計思想に共感する人が多く、バワ建築を泊まり歩くような「バワ・マニア」と言ってもいい人もいるようです。