コロナゼロ化政策の下、観光業界も盛り上がらず

 観光業界も振るわなかった。「コロナゼロ化」政策絶賛実施中であることもあり、一部地区では「不必要な旅行は控えるように」という呼びかけもなされた。「不必要な旅行」とはなんぞや?という疑問はさておき、その呼びかけに応えるように、多くの観光地が閉鎖されたり、入場が制限されたりした。さらに目的地近隣の地域が「静黙」と呼ばれる事実上のロックダウンになっていたり、またそれらが休み中に突然宣言されたりする可能性も考えられ、遠出が敬遠された。

 実際に、中国最南端のリゾート、海南省三亜市では連休中に全民PCR検査実施が発表されたし、西北部のチベット、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区など、自然派愛好者好きのする目的地では次々と感染者の増加が報告され、厳戒態勢に入っている。

 政府の文化旅行部のデータセンターによると、それでも国内旅行(市内や近隣観光地を含む)に出かけた人の数はのべ4億2200万人。その人数も観光消費額も、昨年どころかコロナ禍1年目の2020年国慶節連休にすら及ばなかった。特に航空チケットの売り上げは5年間で最低となった。

「マイカー+高級ホテル」旅の人気は急上昇

 ただ、それでも旅行に出かけた人たちの間では新しい傾向が出現した。というのも、郊外や小都市に設けられた高級ホテルの人気が急上昇、旅行予約サイトのデータでも、そんな高級ホテルの予約率は昨年に比べてもほぼ遜色なく、国慶節消費における「一人勝ち」状態となった。

 航空チケット消費が振るわなかった分、そうやって近場旅行に出かけたのは、マイカーを持つ人たちだ。マイカーならば当然、移動中も第三者との接触を最小限に抑えることができる。さらに移動時間もそのタイミングも自分に都合よく計画できる。「選択」に慣れた、現在の都市型市民にとって最大の利便性を味わうことができるのがマイカー旅行だ。

 しかし、ここでここ数年来の連休でもたびたび議論の的になってきた点が今年もネックになった。それは、EV車両向けの充電スタンド不足問題である。