東武鉄道は4月16日、東武野田線(アーバンパークライン)に新型車両「80000系」を2025年春から導入すると発表した。一方、この新型車両の導入とあわせて、野田線に大きな変化が訪れる。現在、全ての車両が6両編成の野田線であるが、「80000系」は5両編成で登場し、継続して使用される「60000系」についても5両編成に改造される。コロナ収束で需要が回復する中、5両化で混雑率がコロナ前を上回る懸念もある。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
新型車両の導入とあわせ
野田線に大きな変化
東武鉄道は4月16日、東武野田線(アーバンパークライン)に新型車両「80000系」を2025年春から導入すると発表した。
まだ実車はお披露目されていないが、イメージ図では近年流行りのスクエアな前面デザインに、シックで落ち着いた内装を備えており、2013年に登場した「野田線史上初の新車」である「60000系」とは異なる印象の電車だ。メカニズム面も最新技術を採用し、1960~1980年代にかけて大量生産された旧型車両「8000系」から消費電力を4割削減した。
野田線には現在、3種類の車両が走っている。現在最新の「60000系」が18編成108両。次いで1980年代から1990年代にかけて製造された「10000系」が9編成54両。さらに1970年代から1980年代にかけて製造された「8000系」も16編成125両残っている。「80000系」は「10000系」と「8000系」の計25編成を置き換える計算だ。
新型車両の導入とあわせて野田線に大きな変化が訪れる。現在、全ての車両が6両編成の野田線であるが、「80000系」は5両編成で登場し、継続して使用される「60000系」についても5両編成に改造される。
「60000系」から抜き取った1両は、改造の上「80000系」18編成に流用し、残り7編成は5両全てが新造される。東武鉄道は「サスティナビリティの観点から」転用するとしているが、これまでも山手線「E235系」の10号車が先代「E231系」から流用された事例がある(「6ドア車」廃止のため後に新造された車両だったため)。
また、東急電鉄は大井町線への座席指定車両「Qシート」導入で、余剰となった車両を目黒線の8両化に転用した例もあるが、いずれにせよ、置き換えや増備(増結)目的がほとんどで、野田線のように既存車両を減車して新型車両に流用するのは珍しい。