【相続対策その4:養子縁組をする】

 同性カップルの相続対策としてよく知られているのが、養子縁組をするという方法ではないだろうか。同性パートナーと養子縁組をして法律上の親子になれば、親族となるため法定相続人になることができるからだ。遺言書などを作成しなくても、どちらが先に亡くなっても、財産をほぼ確実に相続することができ、税制上の特例や控除も適用される。

 ただし、養子縁組によってパートナーという対等な関係に、親子というタテの関係を持ち込むことに違和感を覚えるという人は少なくない。一度法律上の親子になってしまうと、将来的に日本で同性婚が認められても結婚できない可能性が高いのではないかとして、養子縁組を回避する同性カップルもいる。

 また、年上を養子にすることはできない。二人の関係性・健康状態・所有財産にかかわらず、年長者のほうが養い親となる。そのため、財産を贈与する側が養子で、贈与を受ける側が養い親ということもあるだろう。親から子どもに相続をする場合には、養子・実子にかかわらず子どもが第一順位の相続人だ。養親に配偶者や子ども・孫がいなければ、養子である同性パートナーがすべての財産を受け継ぐことができる。しかし、養子側が先に亡くなってしまった場合、親は第二位相続人だ。もし養子側に子や孫や配偶者がいれば、遺産はそちらにいってしまう。また、養子側の実親が存命の場合には、養親も実親も第二位相続人となるので遺産分割協議をしなくてはならない。

 養子縁組をしたことを周囲に隠していた場合、相続をめぐってトラブルになる可能性もある。被相続人の親族が養子縁組は無効だとして、養子縁組無効確認訴訟を起こす可能性もゼロではないのだ。