【相続対策その2:生命保険を活用する】

 自分に万が一のことがあったときに相手が生活に困らないようお金を残したいというのであれば、生命保険の受取人を同性パートナーにしておくといいだろう。

 生命保険の活用は、「現在持っている財産の相続」とは少し趣旨が異なる。なぜならば、生命保険の死亡保険金は被相続人がもともと持っていた相続財産ではなく、被相続人が亡くなった時点で発生する受取人の固有財産とされるからだ。遺産分割協議の対象にならないため、遺産総額に対して死亡保険金の額があまりに多額だというような場合を除けば、法定相続人による遺産分割トラブルに巻き込まれずに済む。

 ただし、同性パートナーを死亡保険金の受取人にするのであれば、生前に支払う保険料は生命保険料控除の対象にはならない。同居期間といった諸々の条件によっては、保険金額に上限が設けられることや、同性パートナーを受取人に指定することを断られることもある。

 また、税制上の優遇も受けられない。死亡保険金は相続財産ではないものの、みなし相続財産として相続税の計算上は遺産の総額に含まれる。受取人が法定相続人であれば「500万円×法定相続人数」分が非課税となるのだが、受取人が同性パートナーであれば全額が遺産額として計上されてしまう。つまり遺産総額がアップし、相続税がかかりやすくなってしまうのだ。相続税が発生した場合、相続対策1のケースと同じく2割増しで払うことになる点も留意しておきたい。