【社説】ハーバード大の人種差別は永遠に?Photo:Chip Somodevilla/gettyimages

 米連邦最高裁の判事たちは10月31日、人種と大学入学に関する2つの主要な係争について4時間近くにわたり議論を聞くという最高水準の忍耐強さを示した。しかし、この議論はそれだけの時間をかけるに値するものだった。人種による差別は必要だと信じる人たちについて幾つかの不幸な真実が明らかになったからだ。

 判事たちは、ハーバード大学とノースカロライナ大学(UNC)の入学者選抜の慣行に対する異議申し立てを審理している。申し立てを行った学生らは特に、両校がアジア系米国人を差別して他の人種に有利になるよう取り計らっているのは違法だと訴えている。この2つの係争とは、公正な入学選考を求める学生たち(SFFA)対ハーバード大訴訟、およびSFFA対UNC訴訟だ。

 これは、2003年に下されたミシガン大学のグラッター対ボリンジャー訴訟の判決を再検討することを意味する。この判決は、大学は多様性を実現するという目的の下、入学試験の合否を判定する一つの要素として人種を考慮に入れることができるというものだ。この訴訟はまた、サンドラ・デイ・オコナー判事が判決文に、多様性の実現のため人種を考慮する必要は恐らく25年後にはなくなるだろうと記したことでも有名だ。

 それから19年がたち、31日の審理で何人かの判事は、人種的優遇措置がいつ終わるかについてただした。ハーバード大側の法律事務所ウィルマーヘイルのセス・ワックスマン氏は、同校は人種的な中立性を実現するため懸命に努力しているが、そうした優遇措置の終わりは見えないと認めた。

 大学側の主張を堂々と支持するエリザベス・プレロガー訟務長官は明確に、グラッター判決を読んで最高裁はタイムテーブルを示したと「解釈する意見は支持できない」と述べた。同長官は、大学にとって多様性から受ける利益が「説得力のある」ものである限り、大学側は人種の違いを今と同様に扱い続けられると述べた。