岸田首相がお寒い国会対策の裏で「夜の実力者詣で」を始めた訳10月25日の衆院本会議で経済再生担当相だった山際大志郎辞任の経緯に関して陳謝する首相の岸田文雄 Photo:JIJI

「これはあしき前例になる。この責任は重い」。自民党の非主流派幹部が吐き捨てた。やり玉に挙がったのは自民党国対委員長の高木毅だ。首相の岸田文雄は10月24日になって“瀬戸際大臣”とやゆされてきた前経済再生相の山際大志郎の更迭に踏み切った。ところがそれから間もなく、岸田は衆参の本会議場で異例の質疑を受け、説明と謝罪を強いられたことは記憶に新しい。「国会開会中に閣僚が辞任することになりおわびする。任命責任を重く受け止めている」

 長い国会の歴史の中でも、閣僚人事を巡って首相が本会議場で野党議員の質問を受け、答弁に立った例はない。その野党側の要求を唯々諾々と受け入れたのが高木だった。山際更迭翌日の25日、与野党国対委員長会談で立憲民主党国対委員長の安住淳が切り出した。「異例なことだが(山際が)辞めた理由について首相にきちんと説明してもらう必要がある」

 この日の衆院本会議は、立民の元首相、野田佳彦による、元首相、安倍晋三の追悼演説が予定されていた。このため岸田に対する質疑は、野田の演説終了後にいったん休憩してから行われるという異例の対応が取られた。今も自民党内には不満と批判がくすぶる。「なぜそこまで野党側の要求をのむ必要があるのか意味が分からない」(自民党幹部)

 25日夜、自民党幹事長の茂木敏充以下、総務会長の遠藤利明、政調会長の萩生田光一、選対委員長の森山裕の党4役が東京・赤坂の日本料理店に顔をそろえた。8月10日に新4役が決まって初めての夜の会合だった。そこでも高木の国会運営が話題になった。