元首相、安倍晋三の暗殺事件をきっかけに表面化した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党議員との関係が次々に明るみに出る。自民党内には「いずれ時間が解決する」と楽観的な見方を示す幹部もいるが、事はそれほど甘くはない。とりわけ自民党にとって深刻なのは、幹事長の茂木敏充が「点検」と称して実施した調査が新たな火種をつくったことだ。
その概要は、自民党所属の衆参両院議員379人を対象にした調査で半数近い179人が旧統一教会と何らかの接点があったというもの。しかし、自己申告による調査で申告漏れも次々と発覚している。幹事長代行の梶山弘志も9月13日の会見で認めた。「本人の記憶や事務所の記録がなく、十分確認できなかったケースは起こり得る。追加報告の事実があれば、その時点で適宜報告いただく」。
さらに問題は旧統一教会との関わり方を類型別にして121人の氏名を公表したことだ。121人の氏名公表の基準が明らかにされておらず、不公平を生んだ。
「旧統一教会と深く関係したとみられる議員と正直に申告した議員が、同列に扱われているというのはおかしい」(非主流派幹部)
このリストの影響が大きいのは、一定の議員評価のベースになり得るからだ。来年は統一地方選挙がある。その後も折に触れて次の国政選挙までリストが見え隠れするのではないか。茂木は調査結果を発表した8日の記者会見でこう言い切った。