事業環境が厳しい半導体市場で、試練に耐えられる分野がある。炭化ケイ素を使った半導体は、電気自動車(EV)のインバーターやドライブトレインなど大量の電力変換が必要な特定用途向けには、通常のシリコンを使った半導体よりも優れている。しかも炭化ケイ素はダイヤモンドに次ぐ硬さで、扱いが難しい素材だ。コーウェンのマット・ラムゼイ氏は今年公表した詳細なリポートの中で、たった1枚のウエハー――最も一般的なサイズは直径6インチ(約15センチ)――を切り出すだけで3時間以上かかると指摘した。それでもEV市場のおかげで炭化ケイ素の需要急増が続いている。炭化ケイ素のウエハーと半導体の両方を製造するウルフスピードが先頃発表した7-9月期の決算は、売上高が前年同期比54%増の約2億4100万ドルだった。オン・セミコンダクター(オンセミ)は現段階では事業に占める炭化ケイ素の割合はわずかだが、それでも先月31日の発表によれば、7-9月期の炭化ケイ素事業の売上高は年初の3倍になった。
炭化ケイ素半導体は「ダイヤの原石」
ウルフスピードとオンセミは設備増強に多額のコストをかけているが、見返りは大きい
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