70歳以降の支出額を減らすと
老後の生活は安心

 そこで、もう少し支出額を減らす工夫をしてみます。

 65歳から70歳になるまでの年間支出は360万円、年間赤字額は年間160万円のままとしますが、70歳以降の支出額を試算から約15%減額し、年間305万円とします。手取り収入は年間200万円なので、年間赤字額は105万円です。

 Hさんが65歳時点で保有する金融資産額は、前述の通り4025万円です。そこから5年間の累計赤字額である800万円(160万円×5年)を取り崩した、70歳時点の金融資産額は3225万円です。

 そこから毎年105万円を取り崩すと、30.7年(Hさんが100歳強)まで金融資産は持ちます。Hさんも相応の安心を得られるのではないでしょうか。

 このように、試算はHさんが61歳で定年退職する前提で行いましたが、相談文には「移住を延期して65歳頃まで働くことも視野に入れています」と書かれています。

 Hさんが61歳以降も働いた場合や移住を延期した場合、実際の収支は試算と大幅に変わってくる点をご承知おきください。

 また、娘さんが家にお金を入れてくれている旨の記載もありますが、金額が書かれていないので、そのお金も試算では考慮していません。

 ただ娘さんのサポートがなくても、Hさんが生活費を上手にコントロールすれば、老後の生活を過度に心配する必要はないと思われます。

「宝塚三昧計画」を実行に移すことを楽しみに、あと2年間の現役生活を健康に留意して頑張ってください。