シェアハウスから戻ったHさんを
待ち受ける生活は…?

 戻った時点でHさんは63歳で、特別支給の厚生年金が月約13万円あるので、勤労収入は得ない前提で試算を続けます。厚生年金による年間収入は156万円(13万円×12カ月)ですが、手取り額は130万円とします。

 一方の年間支出は、定年退職後の予定額が記載されていないため、Hさんが働いていた期間の支出額を基に推測します。

 Hさんが働いていた期間の支出額は月間40万4000円(年間484万8000円)です。このうち月間15万円(年間180万円)が小遣い・交際費・習い事と書かれています。

 Hさんは現役中、この項目から宝塚の費用を充当していたのでしょう。

 63歳以降は勤労収入を得ないことや、過去2年間の宝塚三昧で十分楽しんだことを踏まえ、小遣い・交際費・習い事の費用は従来の3分の2(月間10万円/年間120万円)まで減額することにします。

 残りの生活費(月間25万4000円/年間304万8000円)も約2割減額し、月間20万円/年間240万円とします。

 小遣い・交際費・習い事(年間120万円)と生活費(年間240万円)を合計した、63歳以降の年間支出は360万円です。

 手取りの年間収入が130万円、年間支出が360万円なので、トータルでは230万円の赤字です。宝塚三昧を終えた63歳から、公的年金が満額受け取れる65歳までの2年間で、計460万円(230万円×2年)を金融資産額から取り崩す必要があります。

 Hさんが63歳時点の金融資産額(4485万円)から2年間の累計赤字額(460万円)を差し引いた4025万円が、65歳時点での金融資産額です。
 
 65歳になると公的年金は満額支給となり、月間20万円/年間240万円に増額されます。ここでは、手取り額を年間200万円とします。

 生活費は年間360万円で変わらないとすると、手取り収入は200万円なので、年間の赤字額は160万円です。

 65歳時点での金融資産額は4025万円ですから、年間160万円ずつ取り崩していくと25.1年。Hさんが90歳強で金融資産は底を突いてしまいます。人生100年時代には心もとない水準であるのは否めません。