東京・日本銀行の前を通り過ぎる人々Photo:Carl Court/gettyimages

 日本は長年にわたり世界有数の米国債の買い手で、米企業・消費者の資金調達コストの抑制に寄与してきた。だがここへ来て、その状況が変わろうとしている。

 日本政府が円相場の下支えへの一環として、短期の米国債を売却しているという兆候が増えている。日本の機関投資家の一部も米国債を含む外債の保有削減を急いでいる。

 物価高と金利上昇によって、投資家が長年抱いていた想定が変化している一例だ。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げで円安が進行し、日本の投資家には米国資産を購入する際の為替ヘッジにかかるコストが上昇している。その結果、投資家は世界の資本フローの不安定化リスクをますます警戒するようになった。

 日本の米国債需要は経済と金融市場にとって重要だ。米財務省のデータによると、日本の米国債保有高は8月時点で約1兆2000億ドル(足元のレートで約180兆円)と世界トップ。日本の民間投資家は国内では得られない利回りを求めて、ここ数年で米国債など外債に巨額の資金を投じてきた。