そもそも消費税は社会保障のためだけの税制ではなく、何にでも使える便利な第二の「サイフ」としての「第二法人税」か「第二事業税」のようなものであり、極めてタチの悪い税制と言っていいだろう(そもそも税は財源ではないのであるが、そのことについての詳細な解説は別稿に譲りたい)。

 社会保障のためだけではないと書いたのは、消費税法においては消費税の使途も目的も法定されておらず、「趣旨等」として想定される使途の例が記載されているだけ。だいたい社会保障のための財源というのであれば消費税を全て繰り入れる特別会計が存在しなければならないが、そうしたものはない。実際、安倍首相(当時)も、第198回国会(常会)の施政方針演説において、消費税率を5%から8%に引き上げた際に、増税分の5分の4を国債の償還に充てていたことを明言し、これを反省して使途を見直すと述べている。

 要するに、インボイス制度以前に消費税自体が極めてタチが悪く問題のある制度ということであり、その悪い制度の悪さをさらに拡大するのがインボイス制度であると言ってもいいだろう。本来は消費税自体が廃止されるべきであるが、少なくとも、百害あって一利なしのインボイス制度、適格請求書等保存方式は「絶対に導入させてはいけないもの」だと筆者は考えている。