――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」今度こそ、インフレの鈍化は本物かもしれない。米労働省が10日発表した10月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.4%上昇と、伸びはエコノミスト予想の0.6%を下回った。前年同月比では7.7%上昇となり、伸びは9月の8.3%から鈍化した。さらに喜ばしいことに、エコノミストと政策担当者がインフレ動向をより正確に反映していると考える、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアのCPI上昇率は前月比0.3%と、伸びは市場予想の0.5%を下回った。前年同月比では6.3%上昇となった。当然ながら、投資家は大喜びだ。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者は、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅をこれまでの0.75ポイントから0.5ポイントに縮小する可能性を示唆しており、10月のCPIを受けて、これが一段と現実味を帯びた格好だ。さらに良いことに、今回のインフレ統計は、FRBの来年のターミナルレート(利上げの終着点)がここ最近の投資家の見立てよりも若干低くなる可能性ももたらした。これが好感され、10日の米株式市場では取引序盤でS&P500種指数が前日比約4%高と急伸したほか、米国債市場でも短期・長期債の価格が上昇し、利回りは大幅に低下した。