忠誠心が高い体育会系は、
電通にも「入社枠」がある

 電通はそこまで多くないが、2~3割を体育会で占める。

「同期で明らかなのは20人くらいでしたが、ここ数年は30人ほど。僕が知る限り、デジタル広告関連部署の離職率が4年で7割くらいと高くなり、とにかく忠誠心が高く辞めない体育会系を採る方針が強化されました。慶應のラグビー部と野球部には実質的な電通への入社枠があり、早稲田の体育会サッカー部の歴代主将クラスが5年連続で電通に入社しています」(若手社員)

 離職率が高まると、人事部としても立場がない。しがらみもあって辞めにくい体育会系は、大人気なのである。

 なお、電通でもコネは減らす傾向にあり、「自分の新卒同期で、全体の3分の1くらい。いちばん多いのは(仕入先にあたる)メディア側からで、フジテレビ常務(大多亮)の息子など」(若手社員)。フジからは、常務だけでなく亀山千広社長(2017年6月に退任後、BSフジ社長)の息子も電通にコネ入社しており、とても上場企業とは思えない露骨にアンフェアな採用が行われ、両社はズブズブの関係である。クライアント側は永谷園の創業一族の娘、ライオンの宣伝担当役員の息子、拓殖大学総長の孫、靖国神社の宮司の息子など。

「ざっくり、計3割がコネで、うち1割がガチコネ、1割が緩いコネ、残り1割がその中間。別途、体育会系が平均2割はいます」(中堅社員)。コネは生まれ持ってのものなのでどうにもできないが、体育会キャリアは自らの行動で作り出せる。特に大学時代にやりたいことが決まっておらずスポーツが好きな人は、やってみて損はない。

(本記事は『「いい会社」はどこにある?──自分だけの「最高の職場」が見つかる9つの視点』の本文を抜粋して、再編集を加えたものです)