「体育会キャプテン経験者」は強力な武器

「子どもが通う高校の父母会で子どものキャリアや就職について話してくれと言われて、『文系・理系じゃなくて、体育会系もいいですよ』っていう話を、したことがあります」(三菱地所社員)

 同社は、国立大出身者はともかく、有名私大出身者は、そのほとんどを体育会出身者のみで固めており、「元アメフト部のキャプテン」だけで3~4人いるという。体育会キャプテン出身は、リーダーシップの証明となる強力な武器だ。建設業者や地権者らを巻き込んで利害調整しながら、大きな建物を作り上げていくデベロッパーでは、リーダー役が求められるから、である。

 総合商社も、その仕事がら、体育会系が多い。

 1つには、国内外の多くの子会社の人たち、顧客担当者らを束ね、投資先企業の業績を向上させるようなプロジェクトを進めるリーダーシップが求められるからだ。

 もう1つの理由は、収益源となっている「資源系」の部署だと──三菱商事なら、エネルギー事業グループや金属グループ──、顧客側が重厚長大製品を扱う伝統的な産業(新日鉄、JXホールディングス等)であるために体質が古く、年功序列で上下関係が厳しくて、体育会的な社風を持ち、それら顧客の社風に合わせないと、仕事がうまく進まないという事情もある。

 だから商事側の若手の仕事も、接待の店のセッティングや資料作成等の仕事ばかりになる。頭脳(IQ)よりも、気遣いや人間関係(EQ)が重要な仕事になり、それは体育会の得意技である。