円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術#12Photo:AH86/gettyimages

節税は国税とのいたちごっこでもある。続々と編み出される手法が次々につぶされる中、次の標的は?特集『円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術』(全16回)の#12は、富裕層税理士座談会の最終回。日々対峙している国税の規制や調査の手法の最新状況について、富裕層税理士たちが語る。(聞き手/ダイヤモンド編集部  鈴木洋子)

座談会参加者(仮名)プロフィール
皆元頼夫 税理士
平良清志 資産家向けコンサル
北城保時 資産家向けコンサル
江間義人 税理士
畠山茂  税理士

「仮想通貨・為替差益は、“分かりにくい”人は
申告せず口を閉ざしちゃうんじゃないかな」

――座談会の最終回です。今回はズバリ「次の国税のターゲットはどこか」です。円安になったので、過去の円高時に海外の口座に現金で貯めたドルを一気に円に替えた人の為替差益が狙われるのではないか、という見方もあります。

北城保時(北城) どうするんでしょうかね。当時の細かい入金の証拠などないし、国税も為替差益が発生した、と証明のしようがないじゃないですか。

畠山茂(畠山) 税理士としては正直お答えしづらい部分もありますね(苦笑)。相談されるとお答えしないといけません。基本的には通帳で追ったり銀行に問い合わせて当時の履歴を取ったり、とにかく探してくださいって形でお伝えせざるを得ないですね。

江間義人(江間) 僕のお客では、「為替差益で雑所得が発生した、どうしよう」って相談してくるのは「分かりやすい人」です。定期的に100万ドル入れて50万ドル出すなど、決まった動きしかない口座とか、金額が極端に大きい入出金の動きを、国税に捕捉されてから言ってくる人が多い。仮想通貨にも言えることですけど、中途半端な金額でガリガリ細かく動かしてて実態が分からない人は口を閉ざしちゃう。国税も指摘しようがないでしょうしね。

北城 ただ、仮に80円割れくらいの相場で買ったドルを円転するとしても、現状で倍になってないくらいですよね。仮想通貨みたいに何百倍にはなっていないから、それに比べたら何かあったときのダメージは少なそう。

江間 税理士の僕らの正念場は来年になりますよね。今年のこのタイミングでいろんなスイッチングや口座移転をしている人が結構いると思うので。来年の3月の2022年度分の申告の時点で、それらとどう対峙していくかですね。僕もやりたくないですけど。

コロナ禍3年、税務調査はどう変わったか?国税の調査能力は結局強化されているのか弱体化したのか?国税が捕捉しにくいといわれていた海外租税回避の最新状況は?詳細は次ページに!