なぜ経営者の言葉が社員に届かないのか?「絶対にやってはいけないパーパス策定法」と「伝わるパーパスの策定法」Photo:Kelvin Murray/gettyimages

経営者の言葉や想いが、現場に伝わらないのはなぜなのでしょうか? その理由と「伝わるパーパス」策定のためのデザインアプローチを、デザインカンパニー・グッドパッチのデザインストラテジストである八木明日香と髙城栄一朗が解説します。

社員が自社ブランドに興味をもってくれない
社員が自社のパーパスやビジョンを覚えてくれない

 多くの企業が、社員や顧客だけでなく、採用活動や投資家を見据えて、自社の社会的意義=Purpose(パーパス)を策定し、世の中へ発信しています。

 こうしたパーパスを軸とし、社員エンゲージメントや企業ブランド価値を向上させようとする「パーパス経営」がトレンドとなり、随分たちました。

 しかし、せっかく自社のブランドのあり方を見直して、経営者がブランドのキーワードを繰り返し発信しても、社員が興味を持たない、自社のパーパスやビジョンを覚えようとしないなど、そもそも足元の社員たちにうまく伝わらないケースも多くあります。

 ある企業では、会社の目指す方向を社員が把握しておらず、「どのような会社なのか」をきちんと伝えられず、結果、顧客に「何をやっている会社かわからない」と言われてしまった、こうした課題が挙がっていました。

 こうなってしまうと、策定したパーパスは「ただの飾られた言葉」となり、形骸化していきます。このような問題は、企業規模にかかわらず、世のいたるところに存在します。

提供:グッドパッチ提供:グッドパッチ

 デザイン会社である私たちのもとにも、企業価値向上を目的とした「パーパス」(企業の社会的意義)や「ビジョン」(企業のありたい姿)「ミッション」(あるべき姿に向かうための使命)などのブランドコアを策定したいという相談が多く寄せられています。

 ではなぜ、せっかく多額の投資をして策定したパーパスが使われなくなってしまうのでしょうか? そして、経営者の言葉や想いが現場に伝わらないのでしょうか?