倒産危険度ランキング×インフレ・過剰債務で危ない725社#5Photo:Kwangmoozaa/gettyimages

16業界にわたる特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』の各記事の中で、紙・パルプ業界は2番目に反響が大きかった。石炭など原燃料価格の高騰で、各社の収益は急激に悪化。値上げを繰り返すが、生産コストの上昇に追い付けない。特集『倒産危険度ランキング×インフレ・過剰債務で危ない725社』(全8回)の#5では、倒産危険度で「危険水域」と診断された13社を含む、紙・パルプ関連の全25社を対象に、「インフレ×過剰債務で危ない会社ランキング」を作成。インフレによる費用増や過剰債務に伴う負担で、経営がどこまで厳しくなるかを試算した。財務的な安全性もチェック。五つの評価軸で総合的に採点した、完全版ランキングの位置付けである。ワースト上位には、財閥系や業界トップクラスのメーカーが名を連ねた。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

大王製紙が値上げで先鞭、業界2位の日本製紙も追随
生産コスト上昇に追い付けず、ペーパーレス化も進む

「紙・パルプ業界では、値上げで先鞭をつけるのはいつも大王製紙。その様子を見てから、他社が追随していくパターンが多い」(大手証券のアナリスト)

 紙・パルプ業界の大きな需要先は書籍や雑誌、コピー紙になる印刷用紙と情報用紙。紙製品の中でも、人口減に加えデジタルへの移行が進み、長期低迷が続いている分野だが、この秋の印刷・情報用紙の価格引き上げは、まさしくこのパターン通りとなった。

 10月24日、大王製紙が2023年1月出荷分から価格をそれぞれ15%以上、引き上げると発表。11月1日には北越コーポレーションも同じ上げ幅を発表した。

 その9日後に、業界2位で、印刷・情報用紙の分野では国内トップシェアの日本製紙も追随した。上げ幅はそれぞれ15~25%。昨年から3回目の値上げとなり、上げ幅の合計は50%程度になる。

 紙需要の減少で、もともと業況が良くなかった紙・パルプ業界。円安の進行と、石炭など原燃料価格の高騰で、収益が急激に悪化している。値上げを繰り返すも、生産コストの上昇に追い付けない構図だ。値上げに抵抗する需要家も多く、ペーパーレス化が一層進みそうだ。

 ダイヤモンド編集部は、23年の到来を前に、倒産リスクをチェックしておきたい全16業界について、16本の倒産危険度ランキングを作成。それぞれ記事として配信した。その中で2番目に反響が大きかった記事が、『倒産危険度ランキング2022【紙・パルプ13社】』だった。

 紙・パルプ業界の倒産危険度ランキングでは、三菱製紙がワースト2位となった。21年3月期の純損益は25億円の赤字。22年3月期は10億円の黒字を確保したものの、本業の収益力を示す営業利益は2億4800万円の赤字である。

 今回は、倒産危険度で「危険水域」に入った13社を含め、紙・パルプ関連の全25社を対象に「インフレ×過剰債務で危ない会社ランキング」を作った。物価上昇に伴うコストアップや金利上昇で、各社の収益がどれだけ苦しくなるかをシミュレーションした。23年の紙・パルプ業界の業況を予測する上で役に立つだろう。

 さらに、当座比率や自己資本比率など財務的な視点も加え、五つの評価軸で総合的に採点。インフレや過剰債務問題が23年の倒産動向を左右する二大テーマであることを踏まえ、完全版ランキングの位置付けとした。

 値上げでいつも先鞭をつける、大王製紙がワースト9位となった。このほか、ワースト上位には、財閥系や業界トップクラスのメーカーも名を連ねた。紙・パルプ関連25社のインフレ×過剰債務で危ない会社ランキングで、ワースト上位がどんな顔触れになったかを確認していこう。