暴力的なインフレ、コロナ禍で膨れ上がった有利子負債、世界的に強まる金利上昇圧力……。2023年は大倒産時代の幕開けとなりそうだ。ダイヤモンド編集部が上場企業3935社の倒産危険度を総点検したところ、500社を超える企業が倒産「危険水域」と判定。その中でも来年、特に苦境に立たされるのは、インフレによるコスト上昇を吸収できずに収益が悪化、過剰債務を抱えてわずかな金利上昇でも赤字に転落する企業だ。特集『倒産危険度ランキング×インフレ・過剰債務で危ない725社』は、12月12日(月)から8回にわたり、巨大な危機として迫る物価・金利上昇と過剰債務のリスクについて、ダイヤモンド編集部の独自試算やランキングに基づき徹底検証。不透明感が強く注目度が高い自動車、紙・パルプ、アパレルの3業界については、それぞれ個別にスポットを当てた。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
#1 12月12日(月)配信
「倒産危険水域508社×インフレで危ない会社」ランキング!31位ぴあ、1位は?
大倒産時代のとば口となる2023年の到来が迫る。来年最大のリスク要因となるのは、現在も進行中のインフレだ。10月の企業物価指数は前年同月比で9.1%も上昇。原燃料費や仕入れ価格の大幅な上昇が企業収益を圧迫する。そこで上場企業3935社の倒産危険度を総点検。さらに危険水域に入った508社について、10%のインフレで経営がどれだけ危なくなるかを独自試算した。営業赤字に陥る企業は別途、自己資本をどの程度棄損するかも加味して、ランキングを作成。債務超過に転落する企業は43社に上った。
#2 12月13日(火)配信
「倒産危険水域508社×過剰債務で危ない会社」ランキング!9位藤田観光、1位は?
新型コロナウイルスの感染拡大から約3年、日本企業の有利子負債残高は近年にない水準にまで膨れ上がった。米国など各国の中央銀行は、インフレを抑えるために積極的な利上げを続ける。金利上昇圧力は世界的に強まっており、日本でもそのリスクは高まっている。怖いのは借金の大きさ。金利が上がれば支払う利息が増え、大きな負担を企業に強いる。来年は過剰債務問題が、企業の存亡に関わる重要なテーマとなる。そこで、上場企業3935社の倒産危険度を総点検、リスクの高い508社をあぶり出した。さらにその中で、1%の金利上昇で収益が大幅に悪化する企業を探る独自ランキングを作成、経営が立ち行かなくなるのはどこかを見定めた。
#3 12月14日(水)配信
【自動車109社】倒産危険度ランキング「過剰債務×インフレ耐久度」反映の完全版!8位日産、1位は?
11月配信の特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』の16業界にわたる各記事の中で、最も反響が大きかった自動車業界。半導体不足に加え原材料価格の高騰も重荷、大手すらワースト上位にランクインして注目を集めた。そこで今回は、倒産危険度で「危険水域」に入った25社を含む、自動車関連の全109社を対象に「インフレ×過剰債務で危ない会社ランキング」を作成した。物価上昇に伴うコストアップや金利上昇で、各社の収益がどれだけ苦しくなるかをシミュレート。当座比率や自己資本比率など財務的な視点も加え、五つの評価軸で総合的に採点して、完全版ランキングと位置付けた。日産系や部品メーカーがワースト上位に浮上している。
#4 12月14日(水)配信
第二のマレリも!?自動車業界109社の倒産危険度が5軸チャートで一目瞭然!金利上昇、インフレに弱いのは?
自動車部品大手のマレリホールディングスが今年6月に倒産したことは、自動車業界の苦境を強く印象付けた。半導体不足など、厳しい状況は依然続く。来年、第二のマレリは現れるのか?金利上昇、インフレ耐久度といった独自の試算に加え、身の丈を超えた有利子負債を抱え込んでいないかどうかなど、五つのチェックポイントで自動車業界を総合的に評価。五角形のレーダーチャートで、その診断結果を分かりやすく見せた。なお、この記事は無料公開(要会員登録)。#3の完全版ランキングとセットで読むと、よりグラフィカルに自動車業界で危険な会社の状況をつかむことができる。
#5 12月15日(木)配信
【紙・パルプ25社】倒産危険度ランキング「過剰債務×インフレ耐久度」反映の完全版!9位大王製紙、1位は?
16業界にわたる特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』の各記事の中で、紙・パルプ業界は2番目に反響が大きかった。石炭など原燃料価格の高騰で、各社の収益は急激に悪化。値上げを繰り返すが、生産コストの上昇に追い付けない。今回は、倒産危険度で「危険水域」と診断された13社を含む、紙・パルプ関連の全25社を対象に、「インフレ×過剰債務で危ない会社ランキング」を作成。インフレによる費用増や過剰債務に伴う負担で、経営がどこまで厳しくなるかを試算した。財務的な安全性もチェック。五つの評価軸で総合採点した、完全版ランキングの位置付けである。ワースト上位には、財閥系や業界トップクラスのメーカーが名を連ねた。
#6 12月15日(木)配信
紙・パルプ業界の苦境鮮明!25社の倒産危険度が5軸チャートで一目瞭然!金利上昇、インフレに弱いのは?
昨年から複数回にわたり値上げを試みている紙・パルプ業界。需要家の抵抗感は強く、ペーパーレス化が一層進んで、返り血を浴びるのは必至の情勢だ。金利、物価上昇それぞれへの耐久度、有利子負債月商倍率、当座比率、自己資本比率の5指標で総合評価。診断結果を5軸のレーダーチャートにまとめ、強み・弱みが直感的に分かるよう工夫した。紙・パルプ業界の平均点は、全5指標で2860社の事業会社平均を下回り、その苦境ぶりがあらわとなった。なお、この記事は無料公開(要会員登録)。#5の完全版ランキングとセットで読むと、よりグラフィカルに紙・パルプ業界で危険な会社の状況を理解できる。
#7 12月16日(金)配信
【アパレル84社】倒産危険度ランキング「過剰債務×インフレ耐久度」反映の完全版!20位コナカ、1位は?
中国で続くロックダウンに供給網の混乱、円安によるコスト上昇、コロナ禍に伴う消費行動の変化……。内憂外患に見舞われるアパレル業界。16業界にわたる特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』の各記事の中で、3番目に反響が大きかった。そこで今回は、倒産危険度で「危険水域」に入った37社を含む、アパレル企業全84社を対象に、「インフレ×過剰債務で危ない会社ランキング」を作成した。物価上昇に伴うコスト増や金利上昇で、企業収益に生じるダメージを試算。自己資本比率なども加味し、五つの評価軸で総合的に採点、完全版ランキングと位置付けた。紳士服大手のコナカがワースト20位となった。
#8 12月16日(金)配信
第二のレナウンも!?アパレル業界84社の倒産危険度が5軸チャートで一目瞭然!金利上昇、インフレに弱いのは?
コロナ禍がとどめを刺す形で、一昨年レナウンが法的整理に追い込まれたアパレル業界。原材料価格の高騰や消費の不振で、深刻な打撃が続いている。来年、第二のレナウンは現れるのか?金利上昇、インフレ耐久度といった独自試算や財務安全性などを含む、五つの指標で完全評価。五角形のレーダーチャートで、アパレル業界が直面する苦境を分かりやすく切って見せた。なお、この記事は無料公開(要会員登録)。#7の完全版ランキングとセットで読むと、よりグラフィカルにアパレル業界で危険な会社の状況を把握できる。
Key Visual:SHIKI DESIGN OFFICE, Kanako Onda