倒産危険度ランキング×インフレ・過剰債務で危ない725社#7Photo:123RF

中国で続くロックダウンに供給網の混乱、円安によるコスト上昇、コロナ禍に伴う消費行動の変化……。内憂外患に見舞われるアパレル業界。16業界にわたる特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』の各記事の中で、3番目に反響が大きかった。特集『倒産危険度ランキング×インフレ・過剰債務で危ない725社』(全8回)の#7では、倒産危険度で「危険水域」に入った37社を含む、アパレル企業全84社を対象に、「インフレ×過剰債務で危ない会社ランキング」を作成した。物価上昇に伴うコスト増や金利上昇で、企業収益に生じるダメージを試算。自己資本比率なども加味し、五つの評価軸で総合的に採点、完全版ランキングと位置付けた。紳士服大手のコナカがワースト20位となった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

2023年10月、87億円の一括返済は困難
追加支援が必要なサマンサタバサ

「アパレル業界の収益環境は、本当に厳しい。円安の影響でコストが大幅に上昇。中国のロックダウンの影響で、供給網の混乱も長引いている。まだ倒産に至る企業は少ないが、これから必ず増えていく。アパレルは、倒産動向を最も注目している業界の一つだ」。こう警鐘を鳴らすのは、大手信用調査会社の幹部である。

 アパレル業界の逆風は、生産面だけではない。インフレで可処分所得が大きく減った上、新型コロナウイルスの感染拡大により消費者の考え方も変わり、ファッションそのものに消費が向かわなくなってしまっている。アパレル業界は、内憂外患に見舞われているのだ。

 ダイヤモンド編集部は11月、倒産リスクをチェックしておきたい全16業界について、16本の倒産危険度ランキングを作成。それぞれ記事として配信した。こうした世相もあり、3番目に反響が大きかった記事が、『倒産危険度ランキング2022【アパレル37社】』だった。

 倒産危険度ランキング2022のアパレル業界では、服飾雑貨のサマンサタバサジャパンリミテッドがワースト7位となった。若い女性を中心に爆発的な人気を誇ったが、ブーム終了後、2022年2月期まで6期連続で最終赤字が続く苦境に陥っている。

 同社は23年10月に87億円を全額返済しなければならないが、経営計画上も資金繰り上も、既に困難な状況に陥っている。親会社である紳士服大手のコナカか、メインバンクの三井住友銀行による追加支援が必要になっていることは、既に同記事で報じた通りだ。

 今回は、倒産危険度で「危険水域」に入った37社を含め、アパレル関連の全84社を対象に「インフレ×過剰債務で危ない会社ランキング」を作った。物価上昇に伴うコスト増や金利上昇で、企業収益に生じるダメージを試算した。23年のアパレル各社の業況を予測する上で、役に立つだろう。

 さらに、当座比率や自己資本比率など財務的な視点も加え、五つの評価軸で総合的に採点。インフレや過剰債務問題が23年の倒産動向を左右する二大テーマであることを踏まえ、完全版ランキングの位置付けとした。

 サマンサタバサ問題で悩み、本体の事業も消費者のスーツ離れで苦しんでいるコナカが、ワースト20位となった。アパレル関連84社のインフレ×過剰債務で危ない会社ランキングで、ワースト上位がどんな顔触れになったかを確認していこう。