コロナ禍がとどめを刺す形で、一昨年レナウンが法的整理に追い込まれたアパレル業界。原材料価格の高騰や消費の不振で、深刻な打撃が続いている。来年、第二のレナウンは現れるのか?特集『倒産危険度ランキング×インフレ・過剰債務で危ない725社』(全8回)の最終回では、金利上昇、インフレ耐久度といった独自試算や財務安全性などを含む、五つの指標で完全評価。五角形のレーダーチャートで、アパレル業界が直面する苦境を分かりやすく切って見せた。なお、この記事は無料公開(要会員登録)。#7の完全版ランキングとセットで読むと、よりグラフィカルにアパレル業界で危険な会社の状況を把握できる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
レナウン破産後も取り巻く状況は悪化の一途
アパレル業界の病巣を5軸チャートで可視化
老舗アパレルのレナウンが、東京地裁から民事再生手続き開始の決定を受けたのは2020年5月。10年代に中国企業の傘下に入ったが、業績を立て直せず低迷していた同社に、新型コロナウイルスの感染拡大がとどめを刺した。
民事再生手続きに入ったが、スポンサー探しは難航。20年11月に破産手続きに追い込まれ、アパレル業界が直面する苦境を強く印象付けた。
その後も状況は悪化の一途をたどる。円安の進行に原材料価格の高騰。中国のロックダウンに伴う生産の停滞やファッション市場の低迷など、深刻な打撃が続くアパレル業界では「第二のレナウンは?」「次はどこか?」と不安視する声が絶えない。
こうしたことから、アパレル業界の倒産動向に注目度が高まっている。11月に配信した特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』では、足元で倒産リスクを確認しておくべき16業界について、ダイヤモンド編集部は16本の倒産危険度ランキングを作成。3番目に反響が大きかったのが、『倒産危険度ランキング2022【アパレル37社】』だった。
そこで今回は、倒産危険度で「危険水域」に入った37社を含め、アパレル関連の全84社を対象に、金利上昇、インフレ耐久度といった独自試算や財務安全性などを含む、5指標で総合的に評価。診断結果を5軸のレーダーチャートにまとめ、アパレル業界が抱える病巣を分かりやすく切って見せた。
その平均点は、全5指標で2860社の事業会社平均を下回り、苦境ぶりがあらわとなった。ウイークポイントは、どこにあるのか。早速、確認していこう。