倒産危険度ランキング×インフレ・過剰債務で危ない725社#3Photo:123RF

11月配信の特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』の16業界にわたる各記事の中で、最も反響が大きかった自動車業界。半導体不足に加え原材料価格の高騰も重荷、大手すらワースト上位にランクインして注目を集めた。特集『倒産危険度ランキング×インフレ・過剰債務で危ない725社』(全8回)の#3では、倒産危険度で「危険水域」に入った25社を含む、自動車関連の全109社を対象に「インフレ×過剰債務で危ない会社ランキング」を作成した。物価上昇に伴うコストアップや金利上昇で、各社の収益がどれだけ苦しくなるかをシミュレート。当座比率や自己資本比率など財務的な視点も加え、五つの評価軸で総合的に採点して、完全版ランキングと位置付けた。日産系や部品メーカーがワースト上位に浮上している。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

業界別倒産危険度で最も注目された自動車
インフレ、過剰債務に耐えられない会社は?

 航空・鉄道、不動産、小売り、アパレル……。景気後退入りが濃厚となってきた2023年の到来を前に、倒産リスクをチェックしておきたい全16業界について、ダイヤモンド編集部は16本の倒産危険度ランキングを作成。それぞれ記事として配信した。

 その中で最も反響が大きかった記事が、『倒産危険度ランキング2022【自動車25社】』だった。自動車業界は新型コロナウイルス感染拡大の影響で自動車部品が不足したほか、世界的な半導体不足を受けて新車生産・販売の低迷に見舞われた。原材料価格の高騰も重荷だった。

 自動車業界の倒産危険度ランキングでは、日産自動車がワースト3位となった。同社の上半期の世界販売台数は156万台で、前年同期からなんと20.4%も減少したのだ。

 22年3月期の純損益こそ2155億円の黒字を確保し、1年前の4487億円の巨額赤字からは脱したものの、世界販売台数は388万台と前期から4.3%減っており、販売不振の兆候は出始めていた。加えて22年3月期の利益のうち、約760億円は独ダイムラー(現メルセデス・ベンツグループ)株の売却益でかさ上げされたものであった。

 日産といえば、系列サプライヤーのマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)が事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)の申請を断念し、今年6月に民事再生法に基づく簡易再生が決まった。自動車業界では「第二のマレリは?」「次はどこか?」と不安視する声が絶えない。

 そこで今回は、倒産危険度で「危険水域」に入った25社を含め、自動車関連の全109社を対象に「インフレ×過剰債務で危ない会社ランキング」を作成した。物価上昇に伴うコストアップや金利上昇で、各社の収益がどれだけ苦しくなるかをシミュレーションした。

 さらに、当座比率や自己資本比率など財務的な視点も加え、五つの評価軸で総合的に採点。インフレや過剰債務問題が23年の倒産動向を左右する二大テーマであることを踏まえ、完全版ランキングの位置付けとした。日産系や部品メーカーがワースト上位に浮上している。

 自動車関連109社の「インフレ×過剰債務で危ない会社」ランキングで、ワースト上位がどんな顔触れになったかを確認していこう。