数々の議論が続き、試行錯誤の連続だった制作期間

 短い期間でありながら、いったい、いくつのフォーマットやコンテンツを検討したことだろう。

 1回の会議の時間はおよそ2時間半。初めて顔を合わせた第1回など、メンバーの名前を覚え、プロジェクトの意図を把握するだけでも頭がいっぱいになったはずだ。「コンセプトはどうする?」「表紙のイメージは?」「手帳のサイズはどれがよい?」……と、サポート役の私たちからひっきりなしに促され、検討事項の多さにさぞ驚いたことだろう。

「さまざまな大学の学生たちで集まって、価値観も違い、熱量のベクトルも一致しなかったので、最初の頃は苦労しました。回数を重ねて、人となりがわかるようになるとスムーズに進みましたが、みんなのベクトルの一致が重要だと痛感しました」(K.Mさん)、「表紙のイメージやウィークリーページの検討では考えがまとまらず、回を持ち越すこともあって、その分のしわ寄せが最終日にきてしまい、不安を感じました。物事を一から決める大変さを、身をもって知ることができました」(G.Mさん)

 プロジェクトが進行していた大学3年の夏は、就活がまだ本格的に始まっていないこともあって、「本当に使えるかどうか」を吟味しにくい面もあったようだ。

「就活とは何なのか、何をすればよいのか……自分たちも手探りの中での討議だったので、就活生にとって使いやすいページを考えるのに苦労しました」(A.Yさん)

コロナ禍の就活生が、“アナログ手帳”の制作で得たコミュニケーション