中国が国外で進める巨大インフラ整備構想「一帯一路」は2010年代半ばから本格化したが、最近はやや絞り気味になっている。だが、すべてを帳消しにするのは早計だ。当初の資金が多く投じられたアジアの一帯一路計画は、新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の大流行)下で特に縮小が顕著だった。しかし少なくとも外国直接投資でみた場合、ラテンアメリカではいまだ拡大を続けている。また、パキスタンのような問題のある地域でさえも、これまでの投資額を考えれば、中国政府が大規模プロジェクトを放棄することはないだろう。パキスタンでは、中国が一帯一路の港湾整備計画を推進する港町グワダルで一連の政治的な頭痛の種が発生した。日経アジアの報道によれば、2022年後半に港湾周辺の警備や深海底引き網漁などの問題が住民の怒りを招いたことで港湾を封鎖する抗議行動が起き、12月末に警察の強制捜査が行われた。ここ数カ月はパキスタン在住の中国人が襲撃される事態が続いている。