乗る人が快適な“俊敏すぎない”ふるまい
最初に試乗したのは、EQS450+。こちらは、フロア下に容量107.8kWhの新世代バッテリーを配置し、モーターと補機類を組み合わせた電動パワートレイン「eATS」をリヤに搭載する後輪駆動モデル。最高出力は333ps、最大トルクは568Nmを発揮する。モーターは特性として0回転からトルクが立ち上がるため、過激なセッティングにすることも可能だが、度がすぎると乗員が疲れてしまう。アクセル操作に対してどのように反応するかがチューニングの腕のみせどころだが、メルセデスはそのあたりがうまい。俊敏すぎない内燃エンジンモデルと似たふるまいをみせる。ステアリング操作に対するノーズの動きはもちろん正確だけれどもとても軽快。21インチの大径タイヤを装着しているがエアサスペンションによってしなやかに路面をトレースしていく。またいわゆる4輪操舵のリアアクスルステアリングを標準装備しているため最小回転半径は5.5mとひとまわり小さなEクラス並みに取り回し性もいい。
走行中の回生のレベルはパドルシフトを使って3段階(D+、D、D-)で調整が可能。これ以外にAutoモードがあり、前走車との距離をセンシングするなどして自動で調整してくれるもので市街地などではこれがもっとも使いやすかった。またEQSは電気自動車のなかでも高い静粛性を誇っているが、逆に音を楽しむサウンドエクペリエンスを備えている。これは起動音や人工的なエンジン音、回生音などを3種類の音から選択できるのだが、どれも既存の内燃エンジン音とはまったく異なる未来的なもの。スポーツモード走行時などには、新しい感覚が味わえる。