そう話すのは『あの人にイライラするのは、部屋のせい。』(PHP研究所)の著者で、整理収納アドバイザーの米田まりなさんだ。米田さんの元に寄せられる相談は、自分自身のこと以上に同居する家族やパートナーの片づけに不満を抱いている内容が多いという。

「こうした価値観の違いは、相手を注意するだけでは解消されません。そこで有効なのがルール化です。たとえば土曜の朝10時から11時の1時間を“片づけの時間”と、習い事と同じように決めてしまう。それ以外の日は互いに意欲的にはやらないようにして、その代わり週に一度は一緒に片づけることを徹底する。片づけトラブルはコミュニケーション不足が原因のことも多いので、一緒に行うことですれ違いも解消しやすいと思います」

 同様に、最初から家の中の領域をきっちり分けるというルール化も有効だ。

「部屋を見渡して漫然とモノが多いと感じてしまう人は、まず収納の共有をやめてみましょう。夫婦であれば1対1、さらに子供が一人いれば1対1対1と空間や収納の比率をあらかじめ設定して、個々の領域をハッキリさせます。たとえば洗面所の収納が5段あるなら、夫婦で各2段、共有部1段として、各自のスペースにおさまっている分は不干渉にする。共有部には2人とも使用するモノしか入れないことにします。こうすることで、誰の持ち物が適正量を超えているのかわかりやすくなるのです」

 捨てるのがもったいないからとモノをため込んでいた人や、スペースに際限がないからと知らず知らずのうちにモノを増やしていた人も、専有部しか使えないとなれば、限られたスペースを有効に使わねばという意識に変わりやすいという。

 また、押し入れや倉庫のような日々使わないようなものをしまっている場所こそ、アクティブに稼働させるという意識が大切だ。

「押し入れが年に数回しか使わないモノでいっぱいで流動性が低いと、普段使うものは常にリビングに出しっ放しになり、散らかりやすい家になります。理想的な押し入れの月次稼働率は50%以上で、かつ全てのモノを年間最低一回は使っていること。押し入れを普段使う服や日用品、本などのストック置き場として活用できると片づけの難易度が一気に下がります。アクティブなものを収納する場所として、常にバックヤードには余裕を持たせましょう」

 シーズンごとに行う衣替えのように、しまいっぱなしの本や趣味のコレクションなども意識的に入れ替え、見直す必要があるようだ。