伊藤忠の創業者が毎月6回
社員にすき焼きを食べさせた理由

――岡藤会長が「小さな支店の社員が漁船に乗り組むような仕事」をやめさせたように、伊藤忠という会社は創業期から「社員にやさしい会社」だと思います。

「人にやさしい」「人を大事にする」というのは当社の伝統です。

 今回の本(『伊藤忠―財閥系を超えた最強商人』)にも書いてありますが、創業者の(伊藤)忠兵衛さんは明治時代に社員にすき焼きを食べさせる会を月に6回も開いていた。

 その頃と同じように、当社は社員のことを考えている。働き方改革によって、安心して子供を育てられる環境になったこともあり、当社の女性社員がお子さんを生む出生率は2012年の0.6から昨年度には1.97にまで上がりました。

 また、昨年6月に発表された大学生向けの就職人気企業ランキングでは、男性、女性、文科系、理科系のすべての部門で当社が1番となりました。

 好調な業績や高水準の報酬というだけではなく、朝型勤務、女性の活躍推進のような人にやさしい施策を大学生もしっかりと見ているのでしょう。

(インタビューは2022年12月に実施。2月10日(金)公開予定の後編に続きます)