「ルフィの実行役」たちを待つ哀れな末路、素人強盗集団に厳罰必至の理由2月3日、フィリピン・マニラで報道陣の取材に応じるフィリピンのレムリヤ法相(中央) Photo:JIJI

全国各地で相次いだ強盗事件で、「ルフィ」などを名乗りフィリピンから指示していたとみられるグループが特殊詐欺で詐取した総額が、60億円を超えることが判明した。警察庁の露木康浩長官が記者会見で明らかにした。警察庁はフィリピン当局に対し、マニラの入管施設に拘束されている4人について特殊詐欺に絡む窃盗容疑で逮捕状を取り、強制送還を要請。フィリピン当局も応じる意向で、一両日中にも送還される見通しだ。一連の詐欺と強盗の両事件について全容解明が期待される。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

法的な理由により
強制送還を実現できず

 全国紙社会部デスクによると、4人は渡辺優樹(38)、小島智信(45)、今村磨人(38)、藤田聖也(38)の各容疑者。フィリピン当局は2019年11月、特殊詐欺を巡り36人を拘束し、ほかは20年2月~21年7月に日本へ送還され、警視庁が逮捕していた。この詐欺グループは計70人前後が摘発され、渡辺容疑者がリーダーで「ルフィ」とみられている。

 警視庁は1月31日、このグループによる被害が確認できた18年11月~20年6月の約2300件分で、総額を約35億円と説明。被害者不詳の事件も含めると、グループに流れた総額は60億円以上になるという。

 フィリピンのレムリヤ法相は4人を強制送還する意向を表明しているが、法的な理由があり、しかるべき手続きが必要だと説明している。では「法的な理由」とは何か。渡辺容疑者はフィリピン人の元妻に、小島容疑者は同居する女性とその子どもに暴行したとして告訴され、現地の検察が起訴した。

 レムリヤ法相は「現地で公判中の事件がある被告は強制送還できない」としているが、同デスクは「現地の弁護士による入れ知恵の可能性があります。暴行を理由に現地で公判が続けば、強制送還されずに済む。一時しのぎの愚策でしかないですけどね」と話した。

 この手口はフィリピンでは常套(じょうとう)手段のようだ。4人とも「同じ容疑、同じ形態」で告訴され、被告となっている。公判中であれば送還されないため、現地の人に依頼して事件をでっち上げてもらう。謝礼は日本円で10万円前後らしい。

 そして、起訴され公判が始まったら「体調不良」を理由に期日延期を繰り返せば、いつまでも居心地の良い入管施設で生活できるわけだ。万が一、判決で実刑になったとしても、その間は送還されずに済む。

 ただ、フィリピン当局は送還逃れの告訴は「許さない」と表明。虚偽告訴であると判明した場合は「弁護士資格の剥奪も辞さない」と強調した。弁護士としてかなりリスクの高い「ヤバい橋」を渡っているようだが、前述のデスクは「それなりの金を握らされたんでしょう。金で何でも通る国ですから」と説明した。