闇バイトで募集された実行役は
個人情報を握られがんじがらめ
実に荒っぽい手口だが、警察や金融機関などが特殊詐欺への警戒を呼びかけた結果、だまされる被害者が減る傾向にあり、こうした中で、資産がある人、特に老人の一人暮らしなどの情報を得たら、強奪してしまうのが手っ取り早いとシフトしたものとみられる。
闇バイトで募集された実行役は、組織から抜けられないよう個人情報を握られてがんじがらめにされていたようだ。昨年10月、東京都稲城市で発生した強盗致傷事件で逮捕された容疑者の男は「自宅も家族も知られ、グループを抜けられないと思った」と供述した。
男はギャンブルでの借金返済に追われ、闇バイトに応募。応募先の指示により、通信アプリ「テレグラム」で運転免許証の写真を送った後、怪しげな人物が自宅を訪問し、恐怖を感じたという。ほかにも1回で100万円の報酬と言われて強盗に同行した容疑者が、要求されるまま運転免許証の写真を送り「逃げられないと思った」と供述している。
特殊詐欺と同様、相手の個人情報を握り、組織から抜けられないよう精神的に支配するのが共通している。グループを抜けようとした人物に暴行を加えたり、そうした話を聞かせることで恐怖心を植え付けたりするわけだ。
グループとしても、警察に駆け込まれたらヤバいことになる。どうしても「はい、そうですか。これまでお疲れさまでした」と解放するわけにはいかない。そのためにはグループにつなぎ止めておかなければならないという理由があるわけだ。
しかし特殊詐欺であれば、詐欺罪は最高で懲役10年。強盗は殺人も加われば最高で死刑もありうる。指示役からすれば手っ取り早く収入が得られる手口だが、実行役にはかなりリスキーな行為だ。