基本的には、それこそが中高一貫校の真骨頂、と腹をくくってください。「圧倒的にできる子」に揉まれてこそ、我が子も自然と高みに引き上げられていきます。

 しかし、自慢の鼻をへし折られるような体験をしたお子さんに、僕がいつもお話ししているのは、「人と比べて落ち込む時は、自分を知る大チャンスである」ということです。

 人生をゲームに例えるなら、

「You play with the cards you‘re dealt…(配られたカードで勝負するしかないんだよ。それがどういう意味であれ)」

 とは、これ、漫画「ピーナッツ」でのスヌーピーの名言ですが、まさにこの通り!

 僕自身も超進学校に入学したあと、どんなに勉強しても上には上がいてトップにはなれない悔しさや、電車に乗っているだけで女の子に告白されてしまうイケメンの親友に対しての、ひそかな劣等感などを抱きながら悶々とした思春期を過ごしました。

 でもその辛い時期に、必死になって本を読んだり勉強方法を工夫したりして、自分にできることを見出して、今につながる努力ができました。

 自信をなくした時は、「己を知る」チャンス。勝負はこれからだと、ぜひお子さんに伝えてあげてください。

 その上で、すっかり自信をなくしてしまった「神童クライシス」のよくあるケースと、僕の見解をお話します。

世界が広がって知る4つのクライシス

■よくあるクライシス1
圧倒的に頭のいい子についていけない

 これこそ、本書の主テーマ「自考モード」に深くつながっていきます。

 よく言われることですが、中学受験での合格は本当のゴールではありません。

 まさに、スタート地点に立ったところです。塾でも学校でも「なんでもできる子」だった神童の、本当の戦いの始まりです。

 お子さんが自分自身の得意・不得意を知り、その上で自分なりの戦い方、勉強の仕方を試行錯誤していけば良いのです。