男性不妊の主な原因は2つ
女性への寄り添いが必須
女性の不妊にはさまざまな治療方法がある。最初は「タイミング法」と呼ばれる方法から始めるのが一般的だ。これは、女性自身の基礎体温や卵胞の大きさ、排卵を促すホルモンから排卵日を予測して、性交のタイミングを決める治療法である。その後、排卵誘発法や人工授精など段階を踏んで進めていく。
「女性と違い、男性の不妊には根本的な治療方法がありません。精子の数を増やす技術がないからですが、代わりに体外受精や顕微授精を用います」
男性不妊で最も多い原因は、造精機能障害だ。精子を作る機能に障害があり、精子の濃度や運動機能が弱まってしまう状態を指す。男性不妊の80%は、この造精機能障害が原因である。
また、精子の通り道がふさがり、狭くなっているため射精が困難な「精路通過障害」の場合もある。これらのケースは、体外受精、顕微授精が一般的だ。
「無精子症の場合もあります。射精は可能であるにもかかわらず、精液中に精子が確認できない状態です。男性不妊の10人に1人は無精子症であることがわかっています。この場合は、顕微鏡下精巣精子回収術(Micro-TESE)を行います。射精で出た精液に精子がいなくても、精巣で精子が作られている場合があります。手術用の顕微鏡を使用して精巣の中にある精細管を採取し、その中から精子を見つける方法です」
近年は生殖医療技術が進んでおり、不妊の男性は治療を行えば、受精の可能性が高くなっている。
「最近は、そもそも勃起できない性機能障害、射精障害の男性が増えています。不妊男性の10%を占めるほどです。ストレスの多い現代生活が影響を及ぼしていると考えています」
男性不妊の予防法としては、十分に睡眠を取り、バランスの良い食事を心がけることだと吉村氏は助言する。
さらに治療を行う上で重要なことがあるという。
「男性が女性に寄り添ってあげることです。男性は精子を提供すればいいですが、女性はそれを子宮に迎え受精し、長い妊娠期間を過ごさなければなりません。受精に失敗した場合は、身体への負担がさらに大きくなってしまいます。二人で子どもを作るという思いを共有することが、何よりも大切です」
「妊活」に男女間のコミュニケーションは欠かせない。