空港システムの進化に見る
日韓の違い

 最後に、韓国入出国と帰国時に感じた日韓の違いを書いておきたい。

 現在、渡韓時にはK-ETA(電子渡航認証システム)とQ-CODE(検疫情報事前入力システム)の事前登録が求められる。前者は、ビザが免除されている国籍の渡航者に対して義務化されており、後者は任意だが、7日間の隔離を免除されるワクチン接種歴の確認を渡航前に済ませられるので、入国審査がスムーズになる。

 K-ETAは英語のみ、Q-CODEは韓国語と英語のみの対応だが、旅行社などが公開している日本語の解説サイトがあるので、それらを参照すれば、さほど支障なく登録できるはずだ。

 問題は、Q-CODE申請は無料だが、K-ETAは約1000円の申請料がかかり、クレジットカードのみでの支払いとなるため、そこを狙った偽サイトも少なからず存在するという点である。被害に遭わないためには、大使館や航空会社、大手旅行社の公式ページからのリンクを使って正しいサイトにアクセスするのが良いだろう。

 日本出発時の空港は、平日にもかかわらず訪日外国人で大混雑しており、まだ制限されている中国からの団体客を除けば、ほぼ客足が戻ったかのような印象だった。そのため、ソウルの仁川空港でも入国審査で時間が取られることを覚悟していたのだが、幸いなことに窓口に並ぶ人数も少なく、また、パスポート照合によるK-ETAの確認と、Q-CODEの二次元バーコードの読み取りによって、拍子抜けするほど簡単に、短時間で通ることができた。

仁川空港では2014年から
セルフバッグドロップシステムの導入が進む

 また、航空便のオンラインチェックインはほぼ常識化しているが、機内持ち込みできないスーツケースなどのバッグドロップ(手荷物預け入れ)は、航空会社のカウンターで物理的に行う必要がある。しかし、仁川空港では、大韓航空などを皮切りにセルフバッグドロップシステムの導入が進んでおり、搭乗券とパスポートをスキャンして、荷物を乗せたコンベア台のカバーが閉まるとX線検査がその場で行われ、問題なければカバーが開き、プリントされたタグを自分で荷物に取り付けることで処理が完了する。

韓国の仁川空港への導入が始まっていたセルフバッグドロップシステムアジア圏では、いち早く2014年から韓国の仁川空港への導入が始まっていたセルフバッグドロップシステム Photo:KOREAN AIR

 同種の機材は、日本でもANAが2015年に羽田空港の国内線カウンターに導入し、2017年に成田空港の国際線での実証実験を行って以来、普及が進んでいる。仁川空港では、オランダのスキポール空港、イギリスのヒースロー空港、オーストラリアのシドニー空港などに続いて、2014年から導入開始していたので、やはり、先に触れた先取精神が発揮されたようだ。