それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術#11Photo:Don Farrall/gettyimages

お値打ち新築ランキングの大阪・名古屋編。大阪市中心部は東京と並び価格高騰が喧伝されるエリアだが、広く大阪府全体を見ると同エリア内の中古坪単価相場とほとんど変わらない「お値打ち」価格で販売されている新築もある。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#11では、大阪府および名古屋市内について、四つの指標で「お値打ちランキング」を作成した。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

日本で最も価格が高騰している大阪府
供給戸数は10年間で最低に

 新築マンションの供給減少が止まらない。不動産経済研究所の調べによると、2024年の近畿圏での新築マンション供給数は前年比1.6%減の1万5137戸。東海・中京圏は同1%減の6080戸となった。

 最大市場である首都圏が同14.4%減の2万3003戸であることを考えると、1年の減少幅は小さいように見える。しかし、近畿圏は15年には1万8930万戸と24年の首都圏を上回る供給があった。市場のサイズの違いを勘案しても、10年で供給数は激減した。特に、このうち最大市場である大阪府は、18年に1万3882戸と最近のピークを付けた後は、ずるずると供給戸数を減らし、24年は8800戸とこの10年で最低記録を更新している。

 供給戸数の減少に伴い、価格の高騰も止まらない。特に大阪府に関してはそれが顕著だ。24年の平均販売価格は5549万円で、前年比25%の伸び。実はこれは首都圏を含む日本の全エリアで最も高い伸び率だ。大阪市内のタワーマンションが転売需要も含めて高騰している(本特集#10参照)ことが原因とみられる。

 高根の花となりつつある新築マンションだが、実は最近の供給状況を観察すると変化も見られる。それは「人気エリアやブランド物件を少しだけ外したところに意外な『掘り出し物』が出てきている」ということだ。

 ダイヤモンド編集部では、SNSでインフルエンサーが話題にする人気物件でなくとも、どうしても新築マンションに住みたい、という人のために「高値つかみせずにかつ賃貸に回しても利回りの良い新築」という観点からランキングを作成した。

 本特集#2の東京編#6の首都圏編と同様の観点で「少しだけ人気エリアやブランド物件を外す」「エリア相場と比べてお買い得、利回りが良い」という視点で掘り出し物を探した。

 3月中旬時点で不動産ポータルサイトなどで新築販売情報が価格と共に公開されていたマンションをピックアップ。マンション情報ポータル「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドの協力により、その新築マンションが立地している住所地番の中古マンション取引相場および賃料相場と突き合わせた。

 ランキングの評価項目は四つ。まず、新築坪単価と中古エリアの相場を比較し、中古相場との乖離率を調べた。さらに、その新築物件を賃貸に回した場合の利回りを地域の賃貸相場から算出。そして、エリアでの坪単価と賃貸相場の騰落率を、19年のコロナ禍前と24年で比較した。それぞれの項目について、入手した新築物件のデータを大阪65物件、名古屋62物件で案分にて配点。「相場比割安で利回りが良いにもかかわらず、売買・賃料とも伸びているエリアにある物件」を60点満点で採点した(詳しいランキング作成方法は次ページを参照)。

 ここでは、あくまでも不動産デベロッパーの専用サイトでの会員登録などが必要ない、一般的な販売ポータルサイトで閲覧できる物件のみを取り上げた。また、現在では価格が変更となったり販売終了していたりする可能性もあるので注意してほしい。

 大阪ランキングの上位には、大阪ではなじみの深い最大手デベロッパーの大型物件が、名古屋ランキング上位には東京でもおなじみのあのデベロッパーの小型物件が多数並ぶ結果となった。早速次ページからランキングを確認してみてほしい。