
ガソリン需要減少、カーボンニュートラル対応、地政学リスクなど、懸念事項が山積する石油元売り業界。業界2位の出光興産の新社長に4月に就任した酒井則明氏にインタビューを敢行した。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、前回に続くインタビュー後編として、酒井氏に化石・非化石由来事業のバランス、次の社長像などを語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 土本匡孝、金山隆一)
米国の水素・アンモニア開発案件
トランプ政権の影響「今のところなし」
――三菱商事との米テキサス州におけるクリーン水素・アンモニア開発案件は最終投資の判断時期が迫っています。米国のエネルギー政策の方針転換が不確実性を生んでいますが影響は?
今のところプロジェクトの準備は、当初予定していた通りに進んでいます。もちろんFID(最終投資決定)に向けて、当社なりに要件がいくつかあって、それらを最終確認しています。
クリーンなアンモニアを日本に持ってくることは非常に重要。構想していることは石炭ボイラーに混焼させること。石炭ボイラーを使う業界はたくさんあり、段階的にCO2(二酸化炭素)を減らしていくための有効な手段です。潜在的にニーズがある企業はたくさんあります。まずは山口県の周南コンビナートの皆さんと一緒になって、石炭ボイラー向けのアンモニアの利用をファーストムーバーとしてしっかり進めていく。そういうご相談を、石油化学の各企業とこれまでずっとさせていただいています。
トランプ政権の影響は常にウオッチしています。支障がもしあれば判断・検討しないといけませんが、今のところはありません。アナウンス通り今年中には最終判断をしたいと思います。
――トランプ関税の影響は?