デジタル庁推進
「Visit Japan Web」の使い勝手は……
実は、今回の旅で最も不可解だったのは、関西国際空港帰国時のVisit Japan Web(デジタル庁が推進する入国手続オンラインサービス)の対応だった。事前登録した画面またはプリントアウトを見せることで検疫を通過できるとの触れ込みで、実際にもその通りだったのだが、ターミナル間の移動用シャトルは利用できずに通路を延々と歩く必要があり、要所ごとにやたらと多くの係員が配置されている。
しかも、Webの説明では(ネット接続ができない場合に備えて)「縦に長いページの3つの要素を確実にスクリーンショットで保存するか、プリントアウトして見せること」となっていたものの、実際には、数をこなすためか移動途中で最初の画面をチラッと見る程度で、何の証明にもならず、最悪の場合、偽造も簡単に行える(適当なスクリーンショットを入手するだけ)と思われた。
さらに、帰国後に改めて登録ページを確認すると、先の縦長ページを一度にダウンロードできる機能が追加されていたのだが、リンク先に飛ぶと、スマートフォンのスクリーンに収まらないサイズの画像が縮小もスクロールもできない状態で表示され、ダウンロードボタンも表示されない状態だった。動作検証の有無や、その程度の改修にいくら税金が使われたのか、大いに気になる。
NIA(韓国知能情報社会振興院)の資料によれば、国連やOECDなどの国際機関によるDX、IT関連のランキングで、韓国はICTの国際競争力、ICTインフラ整備、電子的な社会参加、オープンデータ利用、AIの民主的利用の項目で1位を獲得している。もちろん、同時にさまざまな社会問題も抱えているものの、ことデジタル技術の推進やDXに関しては、政府が音頭を取るだけでなく、具体的に利用しやすい形で社会実装が進められなければ意味がないことが、きちんと理解されていると感じられた。