関税地獄Photo:AFP=JIJI

朝令暮改のトランプ関税に翻弄され、急落した株価はその後も乱高下を繰り返している。株価の先行きはどうなるのか。トランプ関税の行方とともに株価の見通しを5人の専門家に聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

相互関税一時停止でも不透明感拭えず
変動幅の大きい相場が続く

 株式市場は不透明感を嫌う。それを嫌が応でも実感せざるを得ない相場が続いている。

 不透明感の原因はいうまでもなくトランプ関税だ。2月4日の対中国の10%関税を皮切りに次々と関税爆弾が投下されてきた。

 相互関税の4月の賦課が3月2日に発表され、3日に対中追加関税が20%に引き上げられ、延期されていたカナダ・メキシコへの25%の追加関税が3月4日に発動された。

 さらに鉄鋼・アルミへの25%関税が12日に発動された。26日には4月3日に自動車へ25%関税を課すことが発表された。

 こうした関税の嵐のなか、3月下旬から主要国の株価は下落基調を強め、4月2日の相互関税の具体策(一律10%関税と国ごとの上乗せ関税)が示されて以降、急落した。

 関税の賦課によってどれだけ各国の経済がマイナスの影響を受けるのかが不透明な上に、相互関税以外にも半導体や医薬品など分野別の新たな関税の賦課も明言しており、関税が上乗せされるのではといった懸念が高まったことが原因だ。

 米国では、9日の相互関税発動前から株価だけでなく、ドルや米国債の相場も下落するトリプル安の様相を呈しており、発動後はその動きが加速し、金融危機も危ぶまれた。

 さすがに市場の危うさを感じたのか、トランプ政権はトランプ関税に報復しない国には、相互関税の上乗せ部分の発動を90日間停止するとした。

 停止を受けて各国の株価は急騰した。しかし、先行き不透明感が拭えず、その後は変動の大きい相場が続いている。

 日本株も同様に変動幅の大きい展開が続く。下のグラフに見るように、中国やカナダ、メキシコへの追加関税が発表した2月1日以降、日経平均株価はじりじりと値を下げていた。

 3月下旬以降は主要国の株価同様、下げ足を速め、4月2日以降は急落し、一時は3万1000円台にまで下落した。

 トランプ関税の帰趨が読めない状況が当面続くことは確実な状況下、株価はどう動くのか。今回、編集部では、専門家5人にトランプ関税の行方とそれに基づいた日本株の見通しを聞いた。

 次ページでは、その結果を公開する。