無料作品のダウンロードで
クリエイターに利益が入る仕組み
「実は、Kindleインディーズでは1作品ダウンロードされるごとに10円前後の収益がクリエイターに入る仕組みになっているんです」(横山氏)
Kindleを運営するAmazonがプールしている「インディーズ無料マンガ基金」から、ダウンロード数に応じて「分配金」が配られる仕組みなのだという。また、作品の権利は作家が保持したままなので、Amazonのサービス以外で公開中の作品であっても投稿が可能だ。
「コロナの影響でコミケ(=コミックマーケット。同人誌などの即売会)などのイベントがなくなったあたりから、Kindleインディーズを始めていたんです。コロナ禍の約2年間で、コツコツとTwitterにあげた漫画を保管する感覚で投稿し続けて、今は二十数冊ほどになりました」
Kindleインディーズは、平均して月数万円ほどの利益になったそうだが、それだけで生活できるほどの収益にはならなかったという。ところが、昨年12月から連載を始めた「大晦日にどちらかの家庭が崩壊する漫画」が多くの読者の心をつかみ、Twitterで瞬く間に拡散された。このシリーズをきっかけにして、「無料で読めるなら」とKindleインディーズから横山氏の他作品をダウンロードする人が急増。
「まいた種がようやく収穫できたように感じました。月に50万ダウンロードもしていただけたので、マネタイズとしては今一番Kindleインディーズに可能性を感じてます」
無料作品をダウンロードするだけでクリエイターを支援する結果につながるKindleインディーズは、ユーザーとクリエイターがWin-Winな仕組みのようだ。
現在はKindleインディーズの分配金は増え続けているようだが、Kindleが広く普及した結果、分配金が底をつき仕組みを維持できなくなる可能性もある。
「ずっと続くものではないだろう、とは思っています。もしKindleインディーズが終了してしまったなら作品を引き揚げて、電子書籍を代行販売してもらえるところに流すしかないでしょうね。そういう意味では、作品を自由に動かすことができる点も、Twitter漫画のメリットと言えるかもしれません」