迷走 皇帝なきJR東海#番外編Photo:Bloomberg/gettyimages

JR東海の故・葛西敬之名誉会長は、どのような戦略で、改革に抵抗する国鉄やJR東海の労働組合と戦ったのか。特集『迷走 皇帝なきJR東海』の番外編では、国鉄分割民営化について『暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』など複数の著書がある、ジャーナリストの牧久氏に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

労組対応で「国鉄改革3人組」は
分割民営化後、対立した

――国鉄分割民営化を主導した「国鉄改革3人組」の中でJR東海名誉会長だった故・葛西敬之氏が果たした役割とは何でしょうか。

 JR東日本の社長だった故・松田昌士さんに同じ質問をしたことがあります。答えは、JR西日本の社長になった井手正敬さんが「総司令官」、葛西さんが「前線の戦闘隊長」、松田さん自身は「参謀」というものでした。

 最前線でチャンチャンバラバラ労働組合とやり合ったのが葛西さんでした。

――戦闘隊長として戦った相手は極左暴力集団(過激派)を含み、分割民営化に抵抗した労働組合でした。

 分割民営化の最大の狙いは何であるか――。私は国鉄改革当時の首相の中曽根康弘さんに聞いたことがあります。