JR東海の「皇帝」、葛西敬之名誉会長は、いかにして30年近く同社を支配したのか。特集『迷走 皇帝なきJR東海』(全8回)の#3では、従順な子分たちを量産する葛西流の役員人事の“奥義”を明らかにするとともに、脱・葛西シフトに向けた金子慎社長の小さな一歩について解説する。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
90歳の元社長が顧問に就任!
JR東海の“特異”な幹部人事とは
国鉄分割民営化のために尽力した「国鉄改革3人組」の松田昌士氏、葛西敬之氏、井出正敬氏は、それぞれJR東日本、JR東海、JR西日本で社長、会長を務め、独裁的リーダーとして君臨した。
だがJR東海の「天皇」「上皇」と称された葛西氏だけが、28年の長きにわたって代表権を持ち、権力の中枢に居座り続けた(井出氏もかつてJR西日本の「天皇」といわれたが、JR福知山線脱線事故で失脚した)。
では、なぜ葛西氏は長期にわたってJR東海を支配することができたのか。次ページでは、葛西氏による中央集権体制を可能にした「二つの秘訣」と、金子慎社長によるささやかな「脱・葛西シフト」に向けた動きを明らかにする。